マゴットセラピーの株式会社バイオセラピーメディカル
マゴットセラピーの臨床
ドレッシング法選択のフローチャート

囲い込み法の治療手順 (留置期間:48〜72時間、購入物品:フリーマゴット・除圧用フェルト・メッシュカバー)

写真提供:八木クリニック 八木静男先生

<治療前日からの準備>
マゴットの成長を妨げる可能性があるため、患部の軟膏や酸性水の使用を中止しておく。
<治療1日目>
表1.治療当日必要物品
物品 必要度 使用目的
マゴット(医療用ウジ) 患部面積1平方センチメートルあたり5匹
(バイオセラピーメディカルより発送)
除圧用フェルト マゴットの脱走を防ぐための周堤を作成するために使用。厚みのある創傷被覆材でも代用可。(バイオセラピーメディカルより発送)
ガーゼ(大) 患部の被覆などに使用。
ガーゼ(小片) バイアル内のマゴットを受け、患部に移動させる際に使用。
生理食塩水(20ml) バイアル内のマゴットを洗い出すために使用。
メッシュカバー 除圧用フェルトで作成した周堤にふたをするために使用。
(バイオセラピーメディカルより発送)
テープ メッシュカバーを除圧用フェルトに固定するために使用。患部からの浸出液によってはがれない耐水性のものが望ましい。
ピンセット(外科セッシ) ガーゼの取り扱い。マゴットは小さいので直接はさむことはできない。
ゴミ袋 マゴットの廃棄に使用。

◎必須 ○使用が望ましい △あれば便利


@ 治療の準備・製品の確認
  • 必要物品を確認(表1参照)。送られてきた容器内のマゴットが生きていることを確認。
A 周堤の作成
  • 患部周囲の皮膚の汚れを拭き取る。
  • 除圧用フェルトを創の形状に従って切り抜く
  • ・後でメッシュカバーを固定する必要があるために、フェルトの幅は2cm以上あることが望ましい。
  • ・創周囲の正常皮膚がマゴットの分泌液によりびらんを起こすことがあるので、皮膚が弱い症例はフェルトが創周囲の正常皮膚を完全に覆うようにする。この際フェルトが多少創面にせり出すような状態になっても構わない。)
  • フェルトを貼付する。
    (フェルトの片面はシール状になっており、そのまま皮膚に貼付することが可能である。)
B マゴットの取り出し
  • 容器からガーゼごとマゴット(体長2〜3mm)を取り出す。
バイアル
  • ふたや壁についているマゴットは、少量の生食を入れ、ガーゼ小片の上に洗い出す。
マゴットを取り出す
Cマゴットの留置
  • 創部にマゴットをガーゼごとのせる。マゴットの数を厳密に数える必要はない。(同様に治療終了時に除去したマゴットの数を数える必要はない。)
  • 浸出液吸収用の大ガーゼを1〜3枚程度のせる。
Dマゴット脱出の予防
  • 除圧用フェルトで作成した周堤にメッシュカバーでふたをして、その周縁をテープでフェルトに固定をする。
  • 治療中は通常よりも浸出液の量が増えるために、必要に応じてメッシュカバーの上をオムツや吸水パッドなどで更に覆う。(これら通気性のある素材を用いれば、治療中の窒息死はあまり心配することはない。)
E完成
  • 余ったマゴットは容器・ガーゼなどマゴットが付着している可能性のあるものと一緒に、ゴミ袋に入れ口をしっかり閉じた後、医療廃棄物として処分する。
  • (生きたマゴットをそのまま廃棄することに問題がある場合は、約1時間冷凍させてから廃棄する。)

<治療2〜3日目>
浸出液による汚染がある場合は、必要に応じて外側のオムツや吸水パッドのみ交換する。
<治療終了日(3〜4日目)>
表2:治療終了日必要物品
物品 必要度 使用目的
ビニールゴミ袋(大) マゴット、ガーゼなど汚染物質の廃棄用
生理食塩水(100〜500ml) 患部の洗浄用
ガーゼや創傷被覆材 患部の被覆用
ピンセット(外科セッシ) マゴットの除去、ガーゼの取り扱い用
◎必須 ○使用が望ましい △あれば便利
@ オムツ/吸水パッド、メッシュカバーの除去
  • 患部の下にビニール袋を敷く。
  • 表面のオムツ/吸水パッド、次いでメッシュカバーを取り外す。
A マゴットの除去
  • ガーゼを取り外す。
  • フェルトを取り外す。
  • 創表面のマゴットを除去する。取り残しがないように組織の間隙も確認する。
    (マゴットは通常体長1cm近くまで成長しているので外科セッシで除去することが可能。)
  • 生理食塩水で患部をよく洗浄する。
B 終了
  • 取り除いたマゴットはガーゼなどマゴットが付着している可能性のあるものと一緒にゴミ袋に入れ口をしっかり閉じた後、医療廃棄物として処分する。
  • (生きたマゴットをそのまま廃棄することに問題がある場合は、約半日冷凍させてから廃棄する。)

※潟oイオセラピーメディカルのマゴット(ヒロズキンバエ2齢幼虫)は在来種を用いているため、 仮に外部に逃げ出すことがあったとしても生態系に害を及ぼすことはない。

通常、マゴットを患部に置く期間は4〜6日間でこれを1クールとする。1クール終了後の患部の状態や施行中の副作用の有無により2クール目施行の判断をし、次のマゴットの発注をする。